甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
(13) 真実の愛
「どうしてそんなに見るの」
「見たいから」
そう言ってベッドの背に上半身を預けたユアンが、とびきりの笑顔をフィーネ
にむける。
落ち着かない気分になって、フィーネは持っている皿の中をスプーンで
かちゃかちゃとかき回した。
「食べさせてくれないの?」
「熱いわよ」
スープを一匙すくって口許まで持っていけば、
「ふーって冷ましてよ」
とユアンは小首を傾げて、甘えた視線をフィーネによこした。
かっと頬が熱くなる。
さらに居心地が悪くなってフィーネは顔を背けたが、それでも自分の
口許にスプーンを持っていくと、ふー、ふーと息を吹きかけて
スープを冷ました。
こんなことはさっさとすませるに限る。
そう思って、ずいっとスプーンをユアンの方に突き出すと、ユアンは
しげしげとスプーンを見た後に、ぽつりと言った。
「 ”ふーふー ” の次は、" あーん " だと思うんだけど」
がちゃん!
とうとうフィーネは皿の中にスプーンを取り落とした。