甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

 フィーネの問いに、ユアンは顔を隠していた手をゆっくりとどけ、
 フィーネを見た。



   「彼女は......この不思議な瞳が彼女と同じだとしたら......」


 訥々と、話し始めたユアンはすべてを話さないまま口をつぐみ、
 その代わりとでもいうように、つっと手をフィーネの目許にのばした。

 愛しげに指先でフィーネに触れ、彼は心の中で呟く。

 _ _ 彼女とデルタ男神は、恋におちる_ _


 

 黙ってしまったユアンを見下ろしながら、フィーネもまた心の中で
 呟いた。

 不思議なのはあなたの方よ_ _ いとも簡単に、その眼差しで私を捉える。

 戯れるように目許に、こめかみに触れていたユアンの指が、フィーネの首の
 後ろにまわされて、強く引き寄せるから、フィーネは求められるまま
 顔をふせた。

 柔らかく、唇が重なる。

 少しユアンの唇が冷たい気がしたけど、すぐにそれは気にならなくなった。

 二つの熱が溶けて混じり合う。

 切なく漏れこぼれた吐息が絡み合う。

 広場の喧騒はもうどちらの耳にも届かない。
 
 だから、少し離れたところから、二人をじっとみている姿があることに、
 ユアンもフィーネも、少しも気づかなかった。

 
 
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