甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
詐欺師に騙され誘拐されたばかりか、娼婦にさせられるなんて!
殺されるのもごめんだけど、娼婦になんて 絶対、嫌だ。
逃げ出そう!!
フィーネはくるりと振り返ると、駆け出していた。
”待て!” とユアンの声が追いかけてきたが、フィーネは立ち止まらない。
ドアノブに飛びついて、開け放ったドアの外に飛び出そうとした
フィーネは、突然立ちふさがったものに顔をぶつけて足をとめた。
顔を思い切りぶつけて、鼻が痛い。
痛む鼻を押さえて見上げたそこには、ユアンに劣らないほどの美形が
立っていて、フィーネに、にっこりと笑いかける。
「いいところに来た、セオ、そいつを捕まえといてくれ」
ユアンの声に目の前の美形に背をむければ、いつの間にかユアンが
後ろに立っていて......。
フィーネは二人の男に挟まれてしまった。
前方にも美形、後方にも美形、でも、恐い......。
「だからいったいなんなのさ、この女」
ぽりぽりと頭を掻きながら、ユアンの後ろから顔をだしたバーバラが
胡散臭そうな目でフィーネを見て、問うのに、
「ちょっと訳ありでね」
とユアンがにやりと笑えば、もう観念して、フィーネは目を閉じるより他
なかった。
私ってば、なんてところに連れてこられちゃったんだろう。
いったいこれから、どうなるんだろう。