甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

 ベッドの上で驚き固まっているフィーネを見て、男も驚いた顔をする。
 
 だが、すぐに相好を崩すと




   「なんだ、なんだ、いるじゃないか、女が」


 
 と嬉しそうな声をだした。


   
   「ちょっと駄目だよ」



 後ろで女が慌てる。


   
   「この娘は娼婦じゃないんだよ」

   「娼婦じゃない? でも堅気には見えねぇぜ、お前と同じ
    商売女の服を着てるじゃねーか」


 
 しまった!とフィーネは思った。

 いつもは隠している胸元も、人目がないからとショールは外してしまっていて
 男の視線が、広く開いた胸元に集まる。


   
   「まあ確かに、初心そうな娘だけどな」


 
 巻き毛の女から手を離し顎に手をあてると、男は値踏みするように、フィーネ
 をじろじろ見た。


   
   「でも、まぁ、そういうのも俺は嫌いじゃないぜ、可愛い顔してるし」


 
 そして、フィーネのいるベッドに近づいてくる。

 フィーネは言葉もなく、ただずりずりとベッドの上を後ずさった。

 男を止めてくれていた巻き毛の娼婦は、いつの間にかいなくなっている。

 どうしよう...... どうしよう...... どうしよう......

  逃げなきゃと思うが、部屋の入り口は男のむこうだ。

 それよりなにより近づいてくる男が怖くて、フィーネは後ずさることしか
 できなかったが、そんなに大きくないベッドの端はすぐだった。

 もう、これ以上後ずされない!
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