甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

 セオのオムレツは絶品だった。

 ふんわりと柔らかく口の中でとける。
 
 一緒にだされた、玉ねぎのスープと干しぶどうのパンも美味しい。

 生まれたての柔らかな朝日がさしこむダイニングで、美味しい朝食を
 食べながらセオとおしゃべりをして、フィーネはすっかり寛いだ気持ち
 になっていた。

 仕事であちこちでかけるというセオの話はおもしろく、いつの間にか
 フィーネはくすくすと笑いながらセオの話を聞いている。

 ユアンと同じくらいハンサムだけど、どこかにコチンとした冷たさを感じ
 させるユアンとは違い、セオは太陽のような明るさで、なんなく人の警戒を
 といてしまう。

 年齢はきっと自分やユアンよりは上だろう。

 そんなことを考えながら、じっとセオを見つめていたらしく、セオがくすっと
 笑いながら言った。


   「レディに見つめられると、照れるなぁ」

   「私は、レディじゃないわ」


 そうかえせば、フィーネは今自分がやらねばならないことを思い出して
 カチリとフォークをおいた。


   「どうしたんだい」


 すかさずセオにそう聞かれ、昨日のことをかいつまんで話し、これからバーバラ
 のところへ行こうと思うとフィーネが言うと、セオはうーんと唸りながら、
 眉を下げ、なんとも複雑な顔をした。


   「バーバラのところへは行かないほうがいいと思うよ、行ったら
    間違いなく殺されるね」

   「殺され...... 」

   「そういえばユアンが話があるって言ってたから、まずそっちに
    行けば?」


 殺されるよりはましだろうけど、ユアンに会ううのもまた気がすすまない、
 昨夜の自分の態度を思いだせば、気まずくてしょうがない。


   「大丈夫さ、いつまでもここで、こうしているわけにはいかないだろ」


 そう言われればその通りで、セオにやさしく顔を覗きこまれ、促されて、
 フィーネはやっと重い腰をあげた。
    



   

 
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