甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
「わ、私にはできない、人を騙すなんて」
そう言いながらフィーネは強く首を振る。
「法を破るなんて......怖い。それに、普通じゃないでしょ、
こんな......」
そこまで言って、はっと顔をあげればいつの間にかユアンが目の前
にいた。
鋭い視線でフィーネを捉え、そして、目を細めながらユアンはずいっと
フィーネに近づく。
ユアンの雰囲気にただならぬものを感じて、フィーネは一歩、一歩
と後ずさったが、そんなフィーネを追い詰めるように、ユアンもまた、
一歩、一歩とフィーネに近づく。
「怖い? それは法を破ることが?......それとも......」
そう言いながらフィーネを見据える瞳がフィーネの目の前で
琥珀色からアイスブルーに変わった。
「それとも、この僕が?」
有りえないことを目の当たりにしたフィーネは凍りついた。
とんとすぐに背中が壁にあたり、もうそれ以上は下がれなくて、フィーネは
目の前のユアンの顔にただ見入る。