甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋
「はい、わかりました。誰にも言わないとお約束します」
クリスティーナは性格がいいとは言えないけれど、確かに美人だ。
男の人の関心を引くには十分なほど。
このひとが夢中になるのも無理はない、恋は盲目っていうもの。
「クリスティーナの気持ちがわからなくなる時があってね。
彼女は本当に僕を好いていてくれるんだろうか」
「十分そうだと思いますわ」
「そうかな」
「ええ、昨晩の様子を見れば」
フィーネの言葉にブランドン伯爵はにっこりと笑った。
光を纏うような笑顔にその場がぱっと華やぐ。
こんなハンサムな人なら、どんな娘でも選りどり見取りだろうに、
なぜよりによってクリスティーナなんかを......
そんな思いがフィーネの頭に浮かんだ。
「君の言葉は人を説得する力があるね。君に話せてよかったよ。
よければ時々相談にのってもらえないかな
君はクリスティーナの身近にいる人だし」
身近にいるからこそわかるクリスティーナの本性を、この人に話したら
どうなるだろう。
話してしまいたいという誘惑が頭をもたげる。
でも、そんなことをしてもこの人は聞く耳を持たないかもしれないし、
もしそれで二人が別れたとして、その原因がフィーネの告げ口にあったと
クリスティーナに知れたら。
どうなるかは、想像できる。
余計なことに首を突っ込まないこと......。