甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

   「人間には二通りある。
    法に守られている人間と法に見捨てられた人間。
    法に見捨てられた人間が生き抜くためには
    法を破るより他ないんだよ。
    こんな方法? ああ、君にとってはそうだろうさ
    でも僕は、こういうやり方しか、知らない!」



 どん!と強くフィーネの横の壁をたたき、ユアンは俯く。

 そして次に顔をおこしたとき、その顔は怒りよりも哀しみに満ちていた。




   「ユアン、あの......」



 どういう言葉をかければいいんかわからないまま、その哀しみの
 表情に突き動かされてフィーネが言葉を発したとき、



   「.......っ!」


 乱暴に顎をつかまれ、フィーネは唇を塞がれた。

 まるで噛みつくように、ユアンはフィーネの唇を奪う。

 触れ合っている唇は燃え上がるように熱いのに、胸を刺すような
 冷たい哀しみが、フィーネの中に流れ込んでくる。

 抗うことも、すべてを受け取ることもできず、ただ頭がじんと痺れて
 力がぬけそうになる。
 

 熱く、激しく、そして哀しい口づけに、耐えきれなくなったとき
 フィーネはどんっと突きとばされた。

 よろけたフィーネが顔を上げたときには、もうユアンの姿は
 寝室のドアのむこうにちらりと見えただけだ。

 そして、ばたんとドアは閉められた。
 
   
  
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