【短】エイプリルフールは別れの日



………………



 あの日、私はエイジに手紙を渡した。きっとそれはすぐに読まれて、最初の着信以降、彼からの連絡はなかった。



 着信を拒否してしまったのは、きっと聞かれると思ったから。




『どうしてそんなこと言うんだ?』




 まるで自分が正しいかのように、別れを切り出した私を悪者みたいに扱うんだろう。
 そんなこと、絶対にさせない。



 私は電車に乗り込む。



 彼氏にも親友にも裏切られた私だけれど、この日にはどうしても電車に乗りたくなる。



 あなたを探している。



 違う。あなたが愛してくれた日々を探している。



 きっとどこにもない。日々は戻らない。


< 7 / 15 >

この作品をシェア

pagetop