ウソカノ
ガチャンと玄関の方で音がする。

『父さん、待って!』

そう言って玄関の扉を開けて外に出ると、沢山の荷物を持った父さんがいた。

それは、〝もうこの家には帰ってこない〟と知らしめているようだった。

『ごめんな、麻子』

そう言って、車に乗り込む父さん。

『待って…』

ブロロロロ…と無情にも走り出した車。

『待ってぇぇぇ』







< 26 / 41 >

この作品をシェア

pagetop