ウソカノ
「……分かった。」

ここでそう呼び出しを食らう理由はちんぷんかんぷんだけど、少なくともイイコトではないのは明確。

そう言って、里村とその取り巻き4人とあたしは歩いて、体育館裏に連れてかれた。

そこは、陽が当たらなくて、ジメジメしたところで人通りが全くない。

もう、そういうイイコトではないことをするのにうってつけである。

「ねぇ。麻子。麻依ってさ。賢と付き合ってるんでしょ。なんであいつが付き合ってんの?」

…なんであたしに聞くんだろ。

麻依本人に聞けばいいじゃない。

そんな小さな疑問を残し答える。

「麻依が告白したんだって。」

「なんであんな可愛くもないやつと付き合ってんだよ!」

…知らないわよ。

そんなツッコミを心の中で入れる。

「…なんで何も答えねぇんだよっ!」

一瞬にして声を荒げる里村。

いつもの、先生と男子の前で出している。

カワイイ、カワイイ?声と違う。

本性ががっつり出ている。

まあ、よくいうよね。

カワイイ人ほど性格悪いって。

本当に、そういう人ってーーーー自己中で、自己愛が強くて、カワイイのを自覚で行動をとるやつばかり。

そこまでしてモテたいか?と思う。

本当に、好きで、愛おしい人。

そんなたった1人に好かれればいい、そんな考えが普通だと思っていたけど…こういう人もいるんだなぁ、そう今更思った。

「なんか、答えろよっ!」

何を答えろと?

ギュッ、と胸ぐらを掴まれ少し苦しいけど、家の苦しさとはまるで比にならない。













< 39 / 41 >

この作品をシェア

pagetop