ウソカノ
『麻依ちゃんは可愛いわねぇ〜』

にこりと自然な笑顔でいう近所のおばさん。

『ヘヘッ、ありがとうございます!』

それに釣り合うように可愛いい笑顔でお礼を言う麻依。

『…妹ちゃんも可愛いわね』

それに対して、無理矢理貼り付けたような笑顔で言うおばさん。

『どうも…』

まるであんたはおまけよと言われているようで嫌だった。そんな笑顔で言うくらいなら言わなきゃ良いのにと思っていたあたし。

ふとそのことを思い出す。

大人へのとりいれかたがうまく大人からの人気の麻依。

に対して、あたしは大人が苦手だった。

だから、昔の時も、麻依は麻依ちゃん、あたしは妹ちゃんというレベル。

だから、わたしと麻依は比例の関係ではない。

逆に、反比例だ。

だって、あたしは無愛想な態度をとっていると、麻依の愛想がある部分が無駄に目立つ。

そして、あたしの株は下がるけど、麻依の株は上がる一方。

…元々、扱いが違うけど。

小学校の時のあたしのあだ名は「コウモリ」。名字が高森で高を音読みしてコウモリ。

だけど、美人な麻依は「麻依ちゃん」、「麻依さん」、「麻依」のままだった。

中学校では、可愛くもない、ましてや美人でもない。そして無口なあたしには文句を言わないと思ったのか理科の実験とかで、面倒な役割を押し付けるけど、麻依の時は、特に男子。仕事を進んでやる、仕事を押し付けないという始末。

せめて…双子じゃなきゃ良かったのに…

…神様は何がしたいのか…本当に…神とはバカだ。

よくもそんなことしてくれたなと思う。












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