夢みるHappy marriage
「それ営業目的でおだてられてるだけじゃないの。ねぇ、今日の相手外資系コンサルティング会社って言ってたよね。社員なんて半分以上外国人なんじゃないの?英語できない訳がないと思うんだけど」
「でも通じてなかったよ?」
そう言うと、携帯で奴の会社を検索したのか求人の募集要項を見せつけられた。
「ほら見てよ。面接条件、TOEIC850点以上だって。英語が通じてなくてぽかんとしてた訳じゃなくて、あんたの発音の悪さにびっくりしてただけじゃないの?それもきっとドヤ顔で言ったんだろうから、相手も尚更びっくりするよね」
「そ、そんなことない」
「やだー、恥ずかしー。なんでそこで英語で話しちゃうの?」
「だ、だってあの人、私が見た目ばっか気にして中身空っぽ、みたいな感じで言うから私でもこれ位できるんだぞって思わせたかったんだもん!」
「よし、そのこれ位を留学経験のある私が直々に査定してあげよう。レッツ、スピーク、イングリッシュ!」
そう言ってからかうように、私の顔の前にマイクのように手を出す。
「もう、やめてー」
その手を振り払うと、私はグラスを片手に意気込んだ。
「そんな奴のことはいいのっ、もう2度と会うこともないだろうし!こんなことでね、へこたれてる暇ないんだから、次!次行かないと!」
そう言って、薄ピンク色のシャンパンを飲み干す。
お洒落なお店は大好きだけど、今日はそんなしっとり飲むような気分じゃない。
二軒目は、気兼ねなく酔っ払えるように近くの大衆居酒屋に行くことに。
そこで更に酒のペースは増した。ハイボールのグラスを片手に饒舌に喋る。
すると、真紀が私の婚活の条件に口出ししてきた。
「年収1000万以上、身長172cm以上、35才以下ねぇ」
「いやいや、もうね私も20代後半になって現実見えてきたって。そういう奴は遊び相手にはなっても結婚相手にはしてくれないってこと。まずエリートはFラン短大卒田舎の農家出身の私なんか目じゃないの。だからこの前年収700万、年齢も40まで可って条件下げてきたし」
「下げてそれね、言っとくけどそれでも日本男子の平均年収の二倍近いからね」
「だって貧乏は嫌。不幸だから」
「それを不幸だって決めつけるあんたの方が不幸だよ」
「そんなことない。現に私は不幸だったもの」