夢みるHappy marriage


その二人は推定40代前半ってところか。
話をしていると、一人はネット会社を経営をしており、もう一人は商社の役員。
胸元にある数字を確認して頭にたたみ込んでおいたプロフィールから二人の年収を探る。

あー、確か、連番で2000万はあったはず……。

よっし、連絡先ゲットしよう。
まぁ見た目は二人ともおじさんだけど、人当たりは良さそうだし。

そろそろ自分の売り込みから、連絡先交換に持ち込もうと話を進めていたところ、ちーちゃんが会場入り口に目を向けたまま戻ってこない。
案の定不審がられて、どうしたのとおじさん達に尋ねられてしまう。


「……さ、桜井さん、榊原さんと片桐さんが来てます」

はぁ?

まさか見間違えでしょ、とそっちへチラっと目を向けると、そこにはまさしく二人の姿が。
幸い、ここから入り口は遠いから、あっちはまだ気付いていないようだったけど。

な、なんで!?一体、どうしてここにっ!?
ハテナマークとビックリマークを浮かせるだけ浮かせて、混乱状態の私。

しかし。目の前のターゲット達にはバレちゃいけない。ふー、バレないように息を吐き、動揺を隠して平常心を装う。

「……そういえば、今日、会社の帰りに榊原さんに、これからの予定を聞かれてこのパーティーのこと教えたんです。まさかいらっしゃるとは思いませんでしたが、興味あったんですかね?」

すかさず心の中で、ある訳ないだろー!と突っ込む。こんな結婚できない人間が集う下々のパーティーなんて、興味があるとは思えない。

本当、一体何しに来たっていうの、私達のことわざわざ茶化しにきたの?
それとも、ただ単純にチヤホヤされに来たとか?

現に今来たばかりだというのに、もう女の子達に群がられていた。
普段は話しかけられるまで絶対に動かないプライドだけは一人前な高飛車な独身女どもが、わらわらと二人を囲む。

まぁ、しょうがないか。
1000万以上とはいえ、こんなパーティに来る位だから大半の男に顔、体型、年齢、性格の要素の一つに何かしらのオヤ?っていう難点がある。

そんな中この2人の登場だ。この婚活パーティはすでに、彼らの独壇場となっていた。



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