夢みるHappy marriage
割入った膝が不意にスカートの一番奥を掠めて、その刺激に小さく声を漏らした。同時にピクっと反応する体、自分でもびっくりして慌てて片手で口を抑えた。
「……っ」
すぐ近くで、私の泣きそうな顔を見つめる。
……もう本当、その目やめて、嫌な予感しかしない。
「だ、だめっ、や、やだ」
意地悪く私で遊ぶかのような膝。こんな刺激耐えられそうにない、ふるふると顔を横に振って嫌がった。
見つめられる顔も、繋がれた手も、全部全部熱い。
だけど満足な抵抗もできず、敏感になったそこに更に食い込んでくる。
少しでもこの状況から逃げたくて、顔を横に反らして視界から目の前の人物を消した。
目をぎゅっとつむると、観念して細々とした声で訴える。
「……す、スーツ汚しちゃう」
ついに涙がこぼれる。
「……自分が何言ってるか分かってんの」
起き上がって膝を引かれて、少しほっとしたのもつかの間。
照明越しの逆光の彼、表情が見えづらくて胸がざわつく。
基本スリーピースのスーツしか着ない彼。
上着を脱いでベスト姿になると、右手だけ腕まくりする。
あぁ、やっぱりかっこいい。
今まで数ある男を見てきたけど、一番かっこいいと思う。
思わず見惚れてしまうと、そこから更にとろっと熱い蜜が溢れたのが分かった。
おかしい、私の体こんなんじゃなかったのに。
全部全部、この人のせいだ。
右手が熱くなったそこに触れる。驚いて更に全身に力が入り、空いている手でその手を止めようとする。
「嘘でしょ、だめっ」
「絢奈」
……普段、名前でなんて呼ばないくせに。
こんな時ばっかり、そんな声で呼ばないで。
「や……っ」
固い指が湿ったそこを這う。
敏感なそこを掠める度に、息の仕方が分からなくなる。
……やばい、やばい、やばい。
息が苦しい、この切羽詰まった快感を少しでも逃がしたくて、感じるままに声を出したいのに。
それを許してしまったら、この人に理性もろとも持ってかれる。
だから全身を強張らせ、声を我慢して抵抗する姿勢を崩さない。
だけど、だめだ、だめだって思う程、意識がそこに集中する。
今まで感じたことのない感覚。
気持ちいいの先にあるものが怖い。
おかしくなりそうな、自分が自分じゃなくなってしまうような。