夢みるHappy marriage
私の荷物から更に不審なものを見つけたのか、海外製の美容ケア用品を取り出していく。
「これは?」
「まつ毛が伸びるっていう目薬」
「これは?」
「色が白くなるっているサプリメント」
「これ全部預かっておく」
「なんでっ」
「怪しすぎんだろ、成分表さえ書いてないなんて。目薬なんて医薬品なんじゃないのか。しかもなんだよ、こんな美容器具ばっか持ってきて」
「生活必需品ですので」
「はぁ?」
「躊躇いないんだな、そういうの使うの。怖くないの?」
「ないよ、女の一生は短いんだから」
「このマンションにジムとプールがあるから。そこで運動して健康的に痩せた方が良い」
「えっ!それ早く言ってよ」
目をキラキラさせながら訪ねる。
「ジムとプールは何階にあるんですか?」
「37階だけど、スパもあるからもしそっちもやりたいなら予約して、」
「スパ!?」
「そっちは別途料金かかるけど、いくらだったかな」
答えを待たずして、早速スマホで調べる。
しかし、割高過ぎるお値段に、思わず顔がひきつった。
だって120分で軽く5万越えって。
「だめだ、この甘えた体にそんなご褒美与えられない。ジムとプールで厳しく鞭打ってやらないと」
「いいよ、よく頑張ってるから、お小遣いあげるから行っておいで」
行っておいでって、まるで子ども扱い。
「だめっ、甘やかさないで。そもそも私のお手伝いさんっていう、よく分かんない破格の給与もまるまる受け取るつもりないし。この間の10万だって、なんか手付けるの怖くて使えない位なのに」
「だからそれはキスした分だろ」
「そもそも了承した自分が言うのもなんだけど、キス一回10万って……。私なんてどこにでもいる平凡女子なのに、アイドルや女優でもないのに」
ぶつぶつ言う私に、不思議そうな彼。
やっぱり、この人の金銭感覚やばい。庶民の私にはついていけない。
しかも、このスパ&クラブ、ホテル利用客以外は会員制で入会金120万、年額36万って……。
一瞬、頭がクラっとした。