夢みるHappy marriage
まさかの再会
その日の夜、短大時代の友達、真紀を麻布のバーに呼び出し早速愚痴を吐き出した。
「もうね、本当最悪だった。これが最後の希望だって、自分史上最高にめっちゃ気合入れて行ったのに、ダミーって!お金目当てじゃ結婚できないって説教までされるしさ」
「でも顔はかっこよかったんでしょ?」
「それはもうっ。背も高いし、何より年収8000万だよ?」
「しかし、あの川村にそんなビッグな友達がいたとはね。あの頃合コンセッティングしてもらえば良かった」
「本当、あぁ見えてあいつ、いいとこ出てたの忘れてたよ。もう中身がバカ過ぎて付き合ってた頃はそんなこと忘れてや」
「いいとこ勤めてたのにねー。会計士になるって言って仕事辞めて、死に物狂いで勉強するかと思えば世界1周旅行に行ってくるだもんね」
「本当だよ、むしろフラれたのは私だっての」
はぁーと大きなため息をつく私に、真紀が肩を叩いて励ましてくれる。
「まぁ、いい機会だったんじゃない?まず現実でさ、そんな良い男と話すことないでしょ?」
「……まぁね」
あいつの姿を思い出し、悔しいけどそれは認めざるを得なかった。
二人で話していると、ふと前で飲んでいた二人組の仕事帰りらしきサラリーマンと目が合って笑いかけられる。それに適当に笑い返し、友人にこそっと言う。
「ここにいる男達がイモに見える位」
「ははは」
「でもさすがに腹立ってね、最後英語で言ってやったの。私でもこれ位話せるんだぞって。そしたら英語通じなかったみたいで、ぽかんとしてんの。社長って言ったって所詮こんなもんなんだよ」
「……あんた馬鹿じゃないの、あんたが話せるっつったて、所詮駅前留学でしょ?教室通い始めて何ヶ月目よ」
「そんなことないもん、発音上手だってジョージは褒めてくれるし」
「誰、ジョージって」
「私が通ってる教室の先生。イギリス系アメリカ人でイケメンなんだけど、いつも笑いながら上手上手って褒めてくれるもん」