夢みるHappy marriage
第2章
嫉妬と独占欲まみれのハジメテ
そんな居心地が悪くなったしまった職場。
そして家でも、その居心地の悪さは続いた。
無言で夕食を囲む私達。
……なんでいつにも増してちゃんと帰ってくるんだろう。
そっちだって気まずいだろうに、どっかで夕食済ませてくればいいものを。
ちらっと彼の顔を見た。
……職場では確認できなかった、彼の存在。
もしかして川村正吾と彼はずっとグルだった?
あのお見合い以降も、榊原さんを使って私をその気にさせて笑いものにしてたとか?
いや、そんなこと絶対ありえない。榊原さんも正吾もそんな悪い人間じゃない。
だけど本当だったらどうしようと思うと怖くて聞き出せない。
「職場でなんかあった?」
「いや、ないこともないけど」
あなたと付き合ってるって噂流されてることとかね。
だけどそんなことよりも、私が今一番気になるのは、
「どうした?」
「今月で契約終了だって、あとなぜかあなたと結婚することになってる」
「は?なんで?一緒に住んでること誰かに見られたとか?」
「知らないけど、別に今はそんなことどうでも良くて。それよりも、」
「どうでも良くないだろ、まぁ俺と一緒に住んでるからそこまで困ることもないんだろうけど。だけど悔しいだろ、そんな根も葉もない噂流されて」
……
『まぁ、俺と一緒に住んでるからそこまで困ることがない』
その言葉が頭の中でループする。
……来月から無職だっていうのに、全く危機感がないのはコレのせいだ。
ハっとして目の前の人物を凝視する。
「何?どうした?」
そうだよ、私来月から無職なんだよ?
それがなんで川村正吾のことで頭一杯にさせてるんだろう?
こいつとグルだった?
なんかそれももはやどうでもいい、勝手に笑い者にしてればいい。
だめだ、私は私の人生を歩まないと。
ここにいたって甘い夢は見させてくれるけど、その先に繋がるものは何もないんだし。
無職になってやっと目が覚めた。
そうだよ、プロジェクトが終わればこの人ともおさらば。
私達を繋げるものは何もなくなる。