葉擦村
半信半疑で寺を訪問すると、寺の住職は落ち着き払った様子で上司を迎え、極めて淡々とお祓いをしてくれた。

……無論、憑き物など嘘だったのだが。

上司があの集落での体験を住職に話すと、住職は、あの集落が、土着のある風習をずっと頑なに守り続けている事を教えてくれた。

風習とは、その昔、宿を貸した他所者に赤ん坊を攫われた事に端を発する集落の自己防衛策であり、村に生まれて間もない赤ん坊がいる時には、外部からの人間を迎え入れてはいけないというものだという。

風習はいつからかエスカレートし、追払った他所者が二度と村に舞い戻らないよう、祈祷師により、他所者を呪うようになったのだという。

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