天国の復讐ー鈴蘭の花ー
奈南のことは全部知ってると思っていた
俺は奈南に隠し事なんかなんもなければ、
奈南もそうだと思っていた
いや、思いこませていた
口で言わなくても、
「大丈夫?」と声をかけなくても、
互いの存在こそが癒しであり、居場所であると信じて疑わなかった
だけど、俺は甘かった
あまりにも甘すぎたんだ
奈南の傷は、
人1人でどうにかなるような軽いもんなんかじゃなかった
それに気づくのが、
遅過ぎた
「ごめんっ…ごめん、奈南っ…」
掴んだ胸倉を離すことは出来なかった