ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
手紙によると、ダイさんは、癌だったそうです。


そして、人一倍強がりなダイさんだから仕方なかったのかもしれないけど、母さんに知られたくない一心で、なかなか家に帰らなかったそうです。


心配性の母さんだから、癌だなんて言ったら卒倒しそうだと思ったんですって。


なかなか顔をあわせてくれなかったのも、窶れた顔を見せたくない、体力の衰えを気づかれたくない、その思いだけだったとか……


……全く気がつかなかった母さんは、自分が恥ずかしいやら情けないやら、もっと頼って欲しかったやら……いろんな思いがして、たくさんたくさん泣きました。


ダイさんは、ダイさんが死んだ後のことばかり、考えて日々を過ごしていたそうです。


泣き虫の母さんを一人にする訳にはいかない、孤独死してしまう、と……それで、ダイさんはとんでもないことを思いついた。


ダイさんの後を、リンの父親の彼に任せよう、と。


彼の奥さんは出てしまっているし、彼ならその人柄を信用出来る、母さんを預けられる、と。


だから、彼をちょくちょく家に連れてきたりしてたんだとか……そして、そういう状況を作ったうえで、自分の死について考えた。


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