ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
……それから十数分後、二人して屋上に来ていた。
春の夜は、まだちょっと肌寒い。
晩酌かわりに持参したのは、レンジでチンした牛乳、つまみは小魚とアーモンド。
いや一応、まだ未成年だから。
二人して乾杯する。
自分はぬるくなるのが嫌だから即飲んでしまうけど、ケイゾウは猫舌だ。
熱々ではないのにしつこいくらいにフーフーしている様は、ちょっとおかしかった。
「……調べてくれて、ありがとな」
「調べたのはウッキーだけどな」
「へっ……言ってくれたのはお前なんだろ?」
「……まぁな。
気になったから」
ケイゾウはウーさんに言って、父さんが死んだ土砂災害について調べてくれた。
「補修工事の指揮監督ってな状況で自殺……ってなら。
普通、見張り台から落下、とかだろ。
親父さん、土砂崩れに巻き込まれて死んだってのに『自殺』だなんてよ。
そしたら、シンラの親父さん……とんでもねえことになっちまうだろ。
そこんとこが気になってさ」
たしかに。
もしも父さんの死が本当に『自殺』なら……土砂災害そのものを引き起こしたのは父さんだ、ということになってしまう。
あの土砂崩れで事故ったのは父さんだけじゃない(死亡は父さんだけだったけど)。
……人様まで巻き込んで故意に落石まで起こしていたなら、それはそれで大問題だ。
母さんが、危惧していたのもその点だろう。
だからこそ母さんは、お金だけもらって即村を離れたんだと思う。
春の夜は、まだちょっと肌寒い。
晩酌かわりに持参したのは、レンジでチンした牛乳、つまみは小魚とアーモンド。
いや一応、まだ未成年だから。
二人して乾杯する。
自分はぬるくなるのが嫌だから即飲んでしまうけど、ケイゾウは猫舌だ。
熱々ではないのにしつこいくらいにフーフーしている様は、ちょっとおかしかった。
「……調べてくれて、ありがとな」
「調べたのはウッキーだけどな」
「へっ……言ってくれたのはお前なんだろ?」
「……まぁな。
気になったから」
ケイゾウはウーさんに言って、父さんが死んだ土砂災害について調べてくれた。
「補修工事の指揮監督ってな状況で自殺……ってなら。
普通、見張り台から落下、とかだろ。
親父さん、土砂崩れに巻き込まれて死んだってのに『自殺』だなんてよ。
そしたら、シンラの親父さん……とんでもねえことになっちまうだろ。
そこんとこが気になってさ」
たしかに。
もしも父さんの死が本当に『自殺』なら……土砂災害そのものを引き起こしたのは父さんだ、ということになってしまう。
あの土砂崩れで事故ったのは父さんだけじゃない(死亡は父さんだけだったけど)。
……人様まで巻き込んで故意に落石まで起こしていたなら、それはそれで大問題だ。
母さんが、危惧していたのもその点だろう。
だからこそ母さんは、お金だけもらって即村を離れたんだと思う。