ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
「……すげえよな。

天が味方したのかなあ、親父さん。

死にたいと思った時に事故るなんてさ」


「……自分が死ぬことで、大事なものを守る……って。

……生きていることがすべてなのか、潔く身をひくか。

どっちがいいのかなんて、俺には分っかんねえけど、な……」


「価値観の問題だろ。

俺なんて、癌なんて言われたら即、体が弱っちまいそうだもん、ガーンって。

へろへろになって死ぬくらいなら、いっそ体が動くうちに……って親父さんの気持ち、分かるぜ?」


「……へろへろでも。

生きてて欲しかったよ、俺は。

父さんも、母さんにも」


「……そっか……そだな。

わり。

ごめん……」


「……でも、俺も。

自分が同じ立場なら、多分同じこと、するな……」


「……あいつ。

泣くぜ?」



「……分かってらぁ。

言うなよ~……もう……」


ケイゾウにモモのことを言われて、ふと思考が数時間前に飛んだ。


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