ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
……目が覚めたら真ん前にリンがいて、彼女はしゃがみこんで自分の顔を覗き込んでいた。


「あ、起きた……?」


「……」


隣にはやはりモモがいて、イサキのおじさん、おばさん、ユウキが少し離れた壁際に寄りかかって立っていた。


「……!

すいません、俺……」


リンが起きる頃には戻る、と言っていたことを思い出して跳ね起きた。


おばさんが笑顔で言ってくれた。


「いいのよ。

……でもよかった。

心配したんだからね。

シンラ君もため込む方みたいだから。

どこ探してもいないんだもの、万が一……何かあったのかと思っちゃった」


「シン兄さん見つかんないから。

城に連絡させてもらったんだ。

そしたら兄ちゃんが、屋上にいるはずだって、教えてくれて。

モモ姉さんと、あーんなことやこーんなことしてるかもって言ってたよ」


「も~……馬鹿イサキ。

……帰ったらとっちめとこ」


隣りの彼女が、若干顔を赤くした。


「話は、リンとモモさんから聞いたよ。

……大変、だったね」


おじさんが、優しく言ってくれた。


肯いてから頭を下げる。


「……お世話になりました。

本当に……」


< 33 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop