ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
「ねえ……聞いてる?」


「おう……」


「……も~……そんなんで城に帰ったら、みんな心配するよ?

早いとこ、元気出して?」


彼女は、返事が曖昧な自分を未だ傷心中と思ったらしい。


「……いいもんだよな」


「え?」


「いや。

……パートナーって」


「今日のこと?

伊達に2年やってる訳じゃないよ。

そりゃ一緒にいた時間は、他のみんなよかよっぽどに少ないけどね」


「馬鹿たれ。

……仕事以外で、だよ」


「……」


今度は彼女が、黙り込んだ。


見れば顔が真っ赤だ。


……これでちったあ、こっちの心境も理解するだろう。


今はレーズンロールどころじゃないんだ。


「……やだ、もう……」


……分かり易い。


なんって分かりよいんだろう、このパートナーは。


「……これからも、頼むな」


彼女の頭にポフンと手を置いてやる。


「今日はありがとう。

来てくれて、嬉しかった」


彼女は赤い顔のまま、肯くように俯いて、上目遣いで自分を見上げた。


「……役にたてたなら、私も嬉しい」


……その顔が、仕草が。


抱きしめたくなるくらい、かわいかった。


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