ウェスター国戦師(いくさし)の書。2~優しい後悔~
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「……親のそんな事情知っちまったら。

許すも許さねえも……ねえだろ」


「……だな……」


「リンは、母さんにとっちゃあ。

父さんの子に違いなかったと思うよ。

父さんが授けてくれた……っつか巡り合わせた子って言った方が正しいかな」


「……いいなあ、お袋ってよ。

俺のんはどんなんだったんだろーなー。

今度タスケにでも聞いてみっかな……」


「あぁ?

そりゃお前、ノーゼンの王女……」


言い掛けて、言葉を呑んだ。


……やばい、自爆した。


「……スミがなんだよ?」


「いや、まあなんだ、……うん、気にするな」


「……俺は、お前みたく。

マザコンじゃねえぞ」


「……やかましい」


ケイゾウに顔を覗きこまれて、意味ありげにニヤニヤされた。


まあ……自分でも真っ赤になってる自覚はある。


自分が惚れた相手ってのは母親に似てるもんだ、と言っちまったようなものだ。


照れ隠しに、小魚とアーモンドを思い切り頬張った。


そんな自分を見て、ケイゾウが続ける。


「まあ、なあ。

親父と割と趣味趣向似てるだろうから。

あながち間違いじゃ、ねえと思うよ。

スミ似のお袋かぁ……ははっなんか想像つかねぇな」


「言っとくけど。

母さんとあいつ、似てる訳じゃねえんだぜ?

大体あいつ、気ぃ利かねぇわ、料理全然だわ……」


「……わりぃ、もはやのろけにしか聞こえねえ」


「……っ、とーにーかーくー!

全然違うはずなんだけど、なんてぇか……たまに、雰囲気っつか、オーラってのか。

なんてぇか……一緒にいる時の安心感っつったらいいかな……似てるんだよ!

そーゆーのが!」


「……だから思いっ切り、のろけじゃねぇかよ……」



「……悔しかったら。

ノーゼン王女と、それっくらい親密になってみろってんだ」


「だあぁ!

出来たらやってるってーのー!!

出来ねえから悶々してんじゃねえかー!!」


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