離婚、しませんか?
二人だと当然小さすぎる掛け布団から彼女がはみ出して冷えないように彼女の方へとしっかりと掛けてやりながら、オレは腹這いになり両肘をついて上半身を起こすと、背を向けた彼女の髪をそっと撫でる。

彼女は、一度眠りに就けば簡単には起きない。

結婚してから三ヶ月。
それはオレが、誰よりも知っている。

この一ヶ月。こうして、毎晩のように眠る彼女に触れていることに彼女は気付かない。

オレの指先が彼女の小さな耳たぶや、滑らかな頬をなぞり、僅かに開いた唇の柔らかさにさえ劣情を煽られていることも。
その肩から腕へ、パジャマ越しにもそうと分かる女性らしい曲線を描く腰のくびれへと動き回る手が、夜毎に大胆になり彼女を弄っていることも。
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