離婚、しませんか?
腕の中の彼女をそっと抱き直し、間近にその顔を見下ろす。

寝乱れてクシャクシャになった髪。
緩く弧を描いた眉。
今は閉じられた瞼に隠された二重の、クルクルとよく表情が変わる大きな瞳。
慎ましく整った綺麗な鼻筋。
そして、下唇の方がふっくらとした、まるでキスを待つように艶やかな唇。

その全てが愛おしくて胸が締め付けられる。

「好きだ」

下から掬い上げるように唇を攫って、想像以上に柔らかなその感触を味わうように何度も口づける。
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