離婚、しませんか?
嫌味なくらい長いその両足を、片方は投げ出し、もう片方は膝立てて、そこに片肘を乗せて前髪に手を差し入れてくしゃりと掻き揚げながら俯き大きく息を吐く姿もとんでもなく様になって、ドキリとするほどの色香を放つ美形っぷりで。

……ああ。

なんでこんなに煩く鳴り騒いでいるのっ、心臓め。
こんな時までトキメクこの胸が憎らしいっ。
いや、男のくせにそこらの美女より遥かに艶やかで美しすぎる夫が恨めしいっ。
< 54 / 126 >

この作品をシェア

pagetop