離婚、しませんか?
耳元で『みちる、みちる』って呼ばれて縋りつかれると、もしかしてこの人、私に幾ばくかの好意を持っているのかも?なんて自惚れてしまいそうになる瞬間もあって。
なんとなく、いつの間にやら……一緒に暮らす内に、その輪郭もまだはっきりしない曖昧な感情にうっかり絆されてしまったのかも、しれない。

例え、それがすべて、上辺だけのことだったとしても。
傷心の女心にはチョロいくらいに響いちゃったのかもしれない。
夫の優しさが。その……温もりが。
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