離婚、しませんか?
よし……っ。

「みちる?」

どうやら未だに私の名を呼んでいたらしい夫を振り仰ぎ、強い決意を込めて、戸惑う琥珀の瞳を見つめる。

うっ。

至近距離から直視する猫目の威力は半端ない。
いつもキラキラと妖しい光を放っている二つの宝石は今、迷子のように不安気に揺れていて、見ているとどんどん吸い込まれそうで、かわいそうで堪らなくなって『そうそう冗談だったのごねんね』って言いたくなって……って、こら私のバカ。

あの決意を思い出せ!
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