離婚、しませんか?
「そんな、ことは」
「そうなんだよ。あの時も……今だってそうだ。あいつを傷付けたまま逝かせてしまったことも、結婚する気なんてなかったキミを強引に押し切って一緒になったことも。身勝手だって思うだろ?」
「でも、それは……っ」

確かに言葉巧みに『結婚を試してみよう』と言われてその気になってしまったけれど、それを決めたのは私なのに。

「そうやってキミを手に入れて、抱いて。有頂天になってた。けど、実花の時間は十七のままで止まってしまったのに、オレだけが幸せになるなんて、そんな相手を見つけてしまうなんてさ、そんなの許されないだろって……気持ちのどっかにずっと引っ掛かってたんだ。なのに、夢に現れたあいつはいつも同じことを言うんだ。オレは、それを言われる度に堪らなくなって……」
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