離婚、しませんか?
それきり、ぷつりと言葉を途切れさせてしまった夫の背中が、うんと小さく見えて。
やっぱり、守ってあげたくなる。私が、あなたを守るから。

気付いた時には体が勝手に動いていた。

「っ、……みちる?」

驚く夫の後ろから両手を回してお腹の前でぎゅうっと握り締めて、その背中に頬を押し当ててシャツ越しの体温を感じながら呟く。

「教えて?夢の中の実花さんは……なんて言ったの?」

そう尋ねた私の両手に、夫の両手が重ねられる。

私よりも大きな手。
温かな手。

強引で、優しくて、時々意地悪で、でも……いつも私を包み込んでくれる、夫の手。
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