離婚、しませんか?
大丈夫だから。
なんでも受け止めるから。
あなたの胸の内に抱えていることを、私にも教えて。

そう願いながら握り締めていた手を外して、今度は私が夫の両手の上から手のひらを重ねる。
しっかりとそれぞれに指と指を絡めれば、夫の背中越しにその鼓動が急に跳ねる音が聞こえてきた。
速いテンポで鳴り響くそれに……いつも冷静な夫の可愛いすぎる反応に……私の心臓まで煩く騒ぎ出してしまって、こんな時に不謹慎だとは知りつつも、どうにもトキメキを抑えられそうにない。

ああ。やっぱり。

好き。
この人が好き。

好きだからこそ、この人のことをもっともっと知りたい。
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