離婚、しませんか?
「あなたが優しい人だってこと、実花さんはちゃんと分かってる。私だってそうよ。確かに、あなたのペースに嵌められて、結婚して、その……、色々されちゃったり、したけど。でも、それを受け入れたのは私なの。この半年、あなたと一緒に暮らしていく内に段々とあなたのことを知って、それで、私もあなたのことを……」

そこまでは話せたのに、その次の言葉が出て来ない。

じわじわと頬を赤らめて黙り込む私を、大きな猫目が幾度か瞬いて、心の奥まで見透かそうとするように見つめてくるから余計に言えなくなる。

「オレのことを、なに?」
「っ、そ、れは……っ」

いざとなるとちゃんと言えない自分が情けないけれど、でも、だって、やっぱり本人を目の前にして言うのはメチャクチャ恥ずかしいっ。
< 99 / 126 >

この作品をシェア

pagetop