*Only Princess*

「あのさ、」


「ん？」


「美紗、あたしに何か隠してる？」



聞いた途端、美紗の顔はピキッと固まったように見えた。


なに？ それ、どういう反応なの……？


なんて返ってくるかわかんなくて、心臓がドキドキしてる。


もしかしたら美紗は、すごく大事なことを隠してるんじゃないか。

そう思って。


すると美紗はあはは、と笑った。



「あ〜あ。バレちゃったか。実はね、菜生が白鷹に入ってからちょーっと寂しかったんだよね」


「……へ？」


「だって菜生ったら白鷹の話ばっかするし、みんなといる時間増えたしー。簡単に言えば……ヤキモチ？」



想定外の返答に、思わず拍子抜けしてしまった。


え、えーっと。

美紗があたしにヤキモチ焼いてくれてたの……？



「……なにそれっ。美紗ったら可愛い！」


「うわっ。菜生、くっつかないでよ〜」


「可愛い！ 大好き！」


「……菜生ってばー」



あたしは美紗に抱きついて、イチャイチャラブラブしていた。


でもそのときの、美紗の表情が見えなかった。


美紗は何かを抱えているような、思い詰めた表情をしていた。


それにあたしは気づけなかったんだ。