*Only Princess*
「うらめしや〜」
「ぎゃあっ!」
あたしは事あるごとに、叫んでいた。
「菜生、うっさい!」
「だ、だって驚かしてくるんだもん……」
「そりゃあお化け屋敷なんだから」
そうだけどぉ……。
逆になんで美紗はそんな冷静でいられるの!?
さっきの琉依たちのクラスのときとは違う意味で心臓がもたないよ。
隣にいるのが美紗かどうかも疑わしくなってくるもん。
……ああ、ダメだ。
そんなこと考え出したら、キリがないよ。
「…ちを……血を吸わせろ〜」
「うぎゃーー!!」
怪しい青光に照らされていた棺桶が突然開き、中から吸血鬼が出てきた。
その瞬間、あたしはお腹から出た叫びと同時にパッと駆け出す。
……前に、その吸血鬼に手首を掴まれた。