*Only Princess*
それからは校庭のステージでやっているダンス部の発表を見たり、アトラクションで楽しんだり。
そうこうしているうちに、時計の針は2時を指す。
劇の準備をする時間になった。
あたしは美紗と駆け足で体育館に向かうと、前のクラスの発表がちょうど始まる頃だった。
ステージ裏に行くと、そこにはすでに桃太郎の衣装に着替えているてったがいた。
ふつーにカッコイイ。カッコイイんだけど……なんか変。
そりゃあ、桃太郎の格好だからね。
その格好に思わず笑いそうになったけど、なんとか堪えた。
そんなあたしを見て少し眉をひそめたてったが、あたしの頭を小突いてきた。
「おせぇぞ」
「ごめんごめん! 楽しくてつい、ね」
「明日もあるんだから、飛ばしすぎるなよ」
「はぁーい」
生返事をしてから、舞台袖から観客席を見た。
1番前の席には見慣れた顔が並んでいる。
……そう、白鷹のみんな。
やっぱりいる!!
てゆーか、ちゃっかり1番前キープしちゃってるし!
本当にあたしたちのクラスの劇、観に来たんだ。
しかも観客席の中には、チラホラと白鷹の下っ端くんたちもいた。
あぁー、恥さらしだ。