*Only Princess*
「緊張してるか?」
「んーん、あんまり。どーせ1列目にはみんないるし。緊張っていうより、恥ずかしいよ」
「ああ、それは確かにそうだな」
苦笑いをするあたしたち。
だけど。
あたしはてったの前に拳を突き出した。
「てった、頑張ろーね! 手抜いちゃダメだよ!」
「当たり前だ。手なんか抜かねぇよ」
コツン、と合わさる拳。
『次は、2年C組の劇です。2年C組のみなさん、お願いします』
アナウンスが流れた。
「よし、行くぞ」
「うんっ」
てったの後ろを追いかけ、更衣室と飛び出した。
今まで一生懸命練習も準備もしてきたんだもん。
みんなのためにも自分のためにも、頑張りたい。
ううん、頑張る!
幕が上がり、スポットライトでステージが明るく照らされ、音楽が流れ始めた。