*Only Princess*




ナレーションに合わせて物語が進んでいく。


結局、桃太郎が生まれるところは、そのままのてったが桃から出てくることになった。


当然のごとく、白鷹のみんなはそこで"ぶっ"と吹き出した。


あーあ、てった可哀想。

あとで絶対いじられるね。


てったのことを哀れに思うけど、いずれは自分もそうなると気づく。


出番になって、どうにでもなれ!との勢いでステージに飛び出した。


眩しいスポットライト、大勢の観客の視線。


それに一瞬クラッとしそうになったけど、視界の隅で琉依たちが爆笑してるのが見えて元の自分に戻った。


……いや、笑いすぎ!

そんな笑うとか、ひどすぎない!?


セリフを言おうとしたとき、ヒソヒソと話し声が聞こえた。



「おい、あれって菜生さん……だよな?」


「白鷹の姫が、猿……?」


「やばくね? あの格好はやばいだろ」



きゃー、白鷹の下っ端くんたちだ!


ごめんなさい、みんなの顔に泥を塗るようなことをして!


てかやばいってなに?

お願いだから、そんな引かないでぇ!!



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