*Only Princess*
「……菜生」
視線を逸らしながら歩み寄ってきたてった。
「なんか、……恥ずかったな」
「……うん。本当に」
てったの言葉に、あたしは大きく頷いた。
恥ずかしかったけど、ちゃんと終えることができてよかった。
「また黒歴史が増えたー……」と頭を抱えるてったを見て、クスッと笑みがこぼれた。
なんか、可愛い。
こんなこと本人に言ったら怒られるけど。
「なーおっ」
「わあっ」
真幸が飛びついてきた。
そんな真幸の後ろに続いて琉依たちがやって来た。
「菜生〜可愛かったぞ〜」
「似合ってたよ」
バカにしたように頭を撫でてくる真幸と琉依の手をパシッと叩く。
同じようにように、てったもバカにしてくる司と航平を軽くあしらっていた。
「いやぁ、てったの迫真の演技、よかったよ」
「迫真の演技なんてしてないし、そんな話じゃねぇだろ」
「すばらしかったですよ」
「……そりゃどーも」