*Only Princess*
みんなとの待ち合わせは屋上。
劇が終わったあたしとてったは、いち早く屋上へ向かった。
扉を開ければ青い空が広がることを期待したが、空は鉛色だった。
なんだか気分まで沈みそう。
そんなこと思いながら、柵まで歩み寄り座って寄りかかった。
最初はお互いぼーっとしていたり、何かあればちょこっと話す、みたいにして過ごしていた。
でも全然気まずくなくて、むしろ落ち着く。
やっぱり昔一緒にいただけあって、沈黙ですらも心地いいと感じてしまう。
それはきっと、てったも同じだろう。
「なあ、」
「ん?」
てったが口を開き、耳を傾ける。
でもてったの口から出てきたのは、思いがけない言葉だった。
「菜生ってさ、好きなやつとかいんの?」
「……へ?」
突然の質問に、あたしは目が点になる。
き、急になに? てった、どうしたの!?
思わずてったも顔を見ると、顔を逸らされて表情を見ることができなかった。