*Only Princess*
「菜生、帰るぞ」
「あっ、うん」
放課後、友達と別れ、スタスタと教室を出ていくてったのあとを追いかける。
昇降口にはみんながいた。
あまり余計な考え事をしたくないあたしは、毎日白鷹の倉庫へ行っていた。
少し前まで先生に注意されたからと言って歩いていたが、今はまたバイクに変わっている。
いつも通りてったの後ろに乗ろうとしたとき、急に真幸が。
「なんか甘いもんが食べたい気分!」
そう言い出した。
いや。どーした、急に。
そう思ったのはあたしだけじゃなかったと思う。
「じゃあ負けたやつが買ってくるってことで! ジャーンケーンぽんっ」
反射的に手を出してしまい、見事に負けた。
……それはてったも同じだった。
いや、ちょっと待って。
今ジャンケンに参加していた手は3つしかなかった。
てことは、琉依と航平と司はジャンケンをしなかったってこと。
「よっしゃ。菜生とてった、買い出しよろしくなー」
「ずるいっ! 今、あたしとてったしかジャンケンしなかったじゃん!」
「反射的に出しちゃったほうが悪いんですぅー」
「真幸が食べたいものをなんで俺らが買ってこなきゃなんねーんだよ」
「そーだそーだ!」