*Only Princess*
それからも悲劇は続いた。
不倫をされて、家を出て行ったお母さんに対し、お父さんは朝生に強く当たるようになった。
ときには暴力を振るうことも。
暴力を振られると殴り返していたみたいで、日に日に2人の仲は悪くなっていった。
私は何もできなかった。
今までと変わらない態度で接することしかできなかった。
だけどそんな日々を続けて、中学生になった頃。
お父さんのほうまで家を出ていった。
あのときの朝生の表情は、一生忘れられないと思う。
涙をこらえ、唇を結ぶ朝生を見て、私は胸を痛めていた。
お父さんが出ていった理由はわからない。
でも、勝手に出ていく朝生のお母さんとお父さんが、私は許せなかった。