*Only Princess*
朝生は、遠い親戚にあたる人のところへ引き取られた。
必然的に引っ越すことになって、学校も変わった。
すると、以前の朝生が見る影もなかった。
表情も性格も冷たくなり、私を避けるようになった。
「あ、朝生。あのね、」
「うるせぇ! 話しかけるんじゃねぇよ!」
どんなに冷たくされても、私は朝生に話しかけ続けた。
次第に外れた道に向かっても。
私は信じ続けた、朝生がまた笑える日が来るって。
だから朝生の傍を離れなかったし、求められればなんでもやってきたつもり。
あのときだって。
「美紗」
久しぶりに呼ばれた名前。
嬉しくなったのは一瞬で、朝生は衝撃の発言をした。
「俺、蛇王に入ることにしたから。だからもう2度と俺に関わるな」
「だ、蛇王って暴走族だよね? なんでそんな……」
「口出しすんじゃねーよ。もう決めたことなんだよ」
「……じゃあ、私も蛇王に入る」
「は?」
「朝生が入るなら、私も入るから!」
「……チッ。勝手にしろ」