*Only Princess*
中学2年生になって、初めての席替え。
「森山 美紗ちゃん、だよね? 隣の席だから、よろしくね!」
そう話しかけてくれたのが、菜生だった。
一目見て感じた。
ああ、この子は私とは違う、キラキラした世界にいる子だって。
そんな菜生に、私は憧れを抱いた。
菜生は、ちょっぴり意地っ張りなところもあるけれど、常にハイテンションで真っ直ぐだった。
何度も話すうちに"高村 菜生"という存在に惹かれて、いつの間にか親友と呼べる存在になっていた。
菜生といると、自分が蛇王のスパイであることを忘れられた。
信頼しているし、されている。
だけど、話すことのできない秘密。
菜生の大嫌いな暴走族と関わっていること、朝生のこと、言えなかった。
先延ばしにすればするほど、喉を掴まれたように、声が出なくなってしまうんだ。