*Only Princess*
それからも、打ち上げは盛り上がった。
さっきからの楽しい空気は健在だけど、なんていうか……
妙な盛り上がり方だ。
「おぉ、菜生〜! 楽しんでるか〜?」
へらへら笑いながら寄りかかってきた真幸。
その手には、オレンジ色の飲み物。
「えっ、うん。た、楽しんでるよ? 真幸はすごく盛り上がってるね」
「あったりまえだろぉ? 楽しいからなっ」
「おい、真幸。そんな菜生にくっつくな」
「え〜」
あたしたちの間を割って入ってきたのはてった。
1つのことが思い浮かんだ。
「ねえ、まさか……真幸とか何人かの人、お酒飲んでるんじゃ……」
「いや、1滴も飲んでない」
「……ただ盛り上がってるだけか」
空気に酔ってただけか。
まったく、心配して損した!
でもやっぱり、飲んだことはあるのかな?
あるよね、きっと。
暴走族に入ってるくらいだもん。
今飲んでないのは、きっとあたしのため。