*Only Princess*




「……ま、あたしたちは旅行を楽しむことを考えればいっか!」


『ああ』



それが、計画してくれた琉依へのお礼みたいなもの。


そうだよね?


1人頷いていると、再び忠告の声が聞こえてきた。



『楽しむのはいいけど、問題起こすなよ?』


「もー、わかってるよ! 起こさないし!」


『いや、お前といて問題起きなかったことねーし』


「はぁ〜〜なにそれ? ないよ」


『あっただろ。祭りに行くと必ず迷子になるし、買ったばっかのストラップなくすし。この前の文化祭だって、蛇王に絡まれてただろ?』



うっ……否定できない。


言われてみれば、そうだね……。


あたしって運がないのかな?


しょんぼりと落ち込んでいると、呆れたような声が聞こえた。



『だからほっとけねーんだよ』


────キュン。




『危なっかしくて、目が離せねー』


────ドキドキ。



スマホの奥で、優しい笑顔が見えた気がした。


うるさいよ、あたしの心臓。


呆れられてるはずなのに、なぜか鼓動が速くなるの。


ほっとけないって、目が離せないって。


それってあたしのこと気にしてくれてるんだよね?


心配してくれてるってことでしょ?



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