*Only Princess*
……あの人、1人になったけど話しかけにくい。
単純な理由で、ケンカしてたから。
しかも相当強そうだし、ただ者じゃなさそう。
ましてや、暴走族だったら嫌だし……。
そーっとその場を去ろうとしたら。
「おい」
「きえぇぇ!!」
後ろから声をかけられて、自分でもびっくりするくらい大きくてキモい声が出た。
さすがに声をかけてきた本人も驚いたみたい。
「……な、なんだてめー。キモい声出しやがって」
そうさせたのはアンタでしょ!
……とは言えなかった。
振り返ってみると、驚いた。
だって、白鷹のみんなに負けず劣らずイケメンだったから。
綺麗な黒髪に、漆黒の瞳。
惹かれる要素はたくさんあった。
「なんだよそんな見つめて。俺様の美貌に見とれたか」
……相当ナルシストっぽいけど。
なんかムカつく! 言い返してやりたい!
「あのねぇ、確かに見とれてたけど、それ自分で言う!?」
「ぷっ。お前、見とれてたって言うのかよ」
「あっ……しまった」
あーあ、調子乗らせること言っちゃった。