*Only Princess*
ナルシストだけど、悪い人ではなさそう。
安心して息を吐いたとき、その人がケガをしていることに気がついた。
「あっ、ケガしてるじゃん! 肘もケガしてるし、口だって切れてる!」
なんであたし気づかなかったんだろう。
そんなことよりも、早く手当てしないと。
念のために、救急セット持ち歩いてるんだよね。
バッグから救急セットを取り出した。
「お、おい。なにすんだよ」
「なにって、手当てだよ」
「いらねーよ、別に。ほっとけば治る」
「ダメだよ! バイキン入っちゃうでしょ!」
あたしは半ば無理やり手当てを始めた。
痛そう……そういえばみんなも、この前の戦いでいっぱいケガしてたなー……。
「いてっ。てめー、もっと優しくしやがれ!」
「うっさいな! 優しくやってるってば!」
「やってねぇだろ! 愛を込めてやれ!」
「なんでアンタに愛を込めて手当てしなきゃいけないの!」
ったく、文句の多いナルシストだなー。
グチグチ言い合いながらも、手当てを終えた。