*Only Princess*




ナルシストだけど、悪い人ではなさそう。


安心して息を吐いたとき、その人がケガをしていることに気がついた。



「あっ、ケガしてるじゃん! 肘もケガしてるし、口だって切れてる!」



なんであたし気づかなかったんだろう。


そんなことよりも、早く手当てしないと。


念のために、救急セット持ち歩いてるんだよね。


バッグから救急セットを取り出した。



「お、おい。なにすんだよ」


「なにって、手当てだよ」


「いらねーよ、別に。ほっとけば治る」


「ダメだよ! バイキン入っちゃうでしょ!」



あたしは半ば無理やり手当てを始めた。


痛そう……そういえばみんなも、この前の戦いでいっぱいケガしてたなー……。




「いてっ。てめー、もっと優しくしやがれ!」


「うっさいな! 優しくやってるってば!」


「やってねぇだろ! 愛を込めてやれ!」


「なんでアンタに愛を込めて手当てしなきゃいけないの!」



ったく、文句の多いナルシストだなー。


グチグチ言い合いながらも、手当てを終えた。



< 227 / 422 >

この作品をシェア

pagetop